暖流2021夏号掲載
輸血とは
手術、外傷などに伴う出血や血液疾患、癌治療などにおこる血液成分の欠乏に対して、成分を補充するために行うのが「輸血」です。
① 貧血に対して行う「赤血球輸血」
② 止血を担う血小板が減少した際に行う「血小板輸血」
③ 同じく止血を担う凝固因子等が欠乏した際に行う「血漿輸血」の主に3種類があります。細菌から体を守る白血球は輸血できません。輸血の適応は疾患や年齢、症状の有無によって異なるところがありますが、厚生労働省によって疾患別に「トリガー値(輸血を行う 目安値)」が概ね決められています。例えば出血による貧血の場合「ヘモグロビン、値(赤血球に含まれる酸素を運搬する物質)」が 7g/dℓ未満で赤血球輸血が推奨されています。
輸血製剤が作られてから輸血を受けるまで
輸血製剤は血液センターなどで献血していただいた血液から作られます。
① 事前に問診や採血前検査にて献血していただく方の健康状態や治療・服 薬状況をみて、献血基準を満たしているかを確認します。
② 献血条件を満たしていた方は、消毒後に200㎖または400㎖程の採血を行います。
③ 採取した血液は血液センターで血液型検査や感 染症検査(B型肝炎ウイルス等)、コレステロール等の生化学検査が行われ輸血製剤として適合 するか確認されます。
④ 適合した血液は投与時の副作用軽減のため、白血球除去や放射線照射が行われ製造されます。
⑤ 製造された輸血製剤は冷蔵または冷凍保管され、要請が入り次第、各病院へ届けられます。
⑥ 輸血製剤が届いた後はすぐに輸血をするのではなく、まず輸血前検査を行います。輸血前検査は、血液型検査を2回、赤血球輸血の場合はこれに患者さんと輸血製剤が適合するかの「交差適合試験」と、赤血球を壊す抗体がないかの「不規則抗体検査」の計1~3種から成ります。これらすべての検査に適合してようやく輸血が行えます。
血液型や輸血に関して簡単に説明させていただきました。この度の説明を読んで輸血に興味を持った方、詳しく知りたい方はぜひ一度、血液センターのホームページをご覧ください。